道路運送車両法第7条 自動車の新規登録について
行政書士の業務の一つである自動車の登録についてまとめてみます。
一口に登録と言っても、新規登録、変更登録、移転登録など様々です。今回はその中でも「新規登録」について取り上げます。
道路運送車両法第7条の規定
いつものように、まずは条文を引用します。新規登録は道路運送車両法の第7条に規定されています。今回の条文は長いので、1項ずつ見ていきます。
第1項
(新規登録の申請)
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第七条 登録を受けていない自動車の登録(以下「新規登録」という。)を受けようとする場合には、その所有者は、国土交通大臣に対し、次に掲げる事項を記載した申請書に、国土交通省令で定める区分により、第三十三条に規定する譲渡証明書、輸入の事実を証明する書面又は当該自動車の所有権を証明するに足るその他の書面を添えて提出し、かつ、当該自動車を提示しなければならない。
一 車名及び型式
二 車台番号(車台の型式についての表示を含む。以下同じ。)
三 原動機の型式
四 所有者の氏名又は名称及び住所
五 使用の本拠の位置
六 取得の原因
登録を受けていない自動車を登録することを「新規登録」と言います。この「登録を受けていない自動車」というのは、新車の場合もあれば、一度登録を抹消した中古車の場合もあります。
そして、登録申請の義務は所有者にあります。使用者ではありません。
第33条は譲渡証明書に関する規定です。
(譲渡証明書等)
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第三十三条 自動車を譲渡する者は、次に掲げる事項を記載した譲渡証明書を譲受人に交付しなければならない。
一 譲渡の年月日
二 車名及び型式
三 車台番号及び原動機の型式
四 譲渡人及び譲受人の氏名又は名称及び住所
2 前項の譲渡証明書は、譲渡に係る自動車一両につき、二通以上交付してはならない。
3 自動車を譲渡する者は、当該自動車に関して既に交付を受けている第一項の譲渡証明書を有するときは、これを譲受人に交付しなければならない。
4 自動車(国土交通省令で定めるものを除く。)を譲渡する者は、第一項の規定による譲渡証明書の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該譲受人の承諾を得て、当該譲渡証明書に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものをいう。以下同じ。)により登録情報処理機関に提供することができる。
5 前項の規定により譲渡証明書に記載すべき事項が登録情報処理機関に提供されたときは、同項の自動車を譲渡する者は、当該譲渡証明書を当該譲受人に交付したものとみなす。
第2項
2 国土交通大臣は、前項の申請をする者に対し、同項に規定するもののほか、車台番号又は原動機の型式の打刻に関する証明書その他必要な書面の提出を求めることができる。
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ここは書いてあるとおりなので、特に解説は必要ないと思います。
第3項
3 第一項の申請をする場合において、次の各号に掲げる自動車にあつては、それぞれ当該各号に定める書面の提出をもつて当該自動車の提示に代えることができる。
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一 第七十一条第二項の規定による有効な自動車予備検査証の交付を受けている自動車 自動車予備検査証
二 第七十五条第一項の規定によりその型式について指定を受けた自動車 同条第四項の規定による完成検査終了証(発行後国土交通省令で定める期間を経過しないものに限る。次項第二号において同じ。)
三 第十六条第一項の申請に基づく一時抹消登録を受けた後に第九十四条の五第一項の規定による有効な保安基準適合証の交付を受けている乗用自動車等(人の運送の用に供する自動車又は貨物の運送の用に供する小型自動車のうち、当該自動車の構造等に関する事項(第七十一条の二第一項に規定する構造等に関する事項をいう。)に変更が生ずることが少ないものとして国土交通省令で定めるものをいう。第九十四条の五第七項において同じ。) 保安基準適合証
四 第七十一条の二第一項の規定による有効な限定自動車検査証の交付を受けた後に第九十四条の五の二第一項の規定による有効な限定保安基準適合証の交付を受けている自動車 限定自動車検査証及び限定保安基準適合証
第1項で「かつ当該自動車を提示しなければならない」とありますが、この項の規定により自動車そのものの提示ではなく以下の書面の提示で事足りるということです。
1.自動車予備検査証
2.完成検査終了証
3.保安基準適合証
4.限定自動車検査証及び限定保安基準適合証
第4項
4 第一項の申請をする者は、次の各号に掲げる規定によりそれぞれ当該各号に掲げる規定に規定する事項が第九十六条の二から第九十六条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録情報処理機関」という。)に提供されたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の申請書にその旨を記載することをもつてそれぞれ当該各号に掲げる書面の提出に代えることができる。
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一 第三十三条第四項 譲渡証明書
二 第七十五条第五項 完成検査終了証
三 第九十四条の五第二項 保安基準適合証
四 第九十四条の五の二第二項において準用する第九十四条の五第二項 限定保安基準適合証
自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)により上記情報が登録情報処理機関に提出された場合は、申請書にその旨を記載すればよいです。申請書にチェックを入れる欄があります。
第5項
5 前項の規定により同項各号に掲げる規定に規定する事項が登録情報処理機関に提供されたことが第一項の申請書に記載されたときは、国土交通大臣は、登録情報処理機関に対し、国土交通省令で定めるところにより、必要な事項を照会するものとする。
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ここも特に解説は不要だと思います。
第6項
6 第一項の申請は、新規検査の申請又は第七十一条第四項の交付の申請と同時にしなければならない。
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第71条第4項には何が書かれているかというと、自動車予備検査証の交付を受けた後に使用の本拠地が定められたときは自動車検査証の交付を受けることができるというものです。
4 自動車予備検査証の交付を受けた自動車についてその使用の本拠の位置が定められたときは、その使用者は、国土交通大臣に当該自動車予備検査証を提出して、自動車検査証の交付を受けることができる。
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ということで、新規検査を受けるのと同時、または自動車予備検査証より自動車検査証を受けるのと同時に、登録の申請をしなければならないということになります。
実務面から見た新規登録
新規登録ですが、新車の新規登録と、中古車の新規登録の2パターンがあります。
新車の新規登録(新車新規)
新車の場合、自動車メーカーが発行する「完成検査終了証」を提出することで、新規検査を省略することができます。
新しく完成した大量生産の車両を1台ずつ全部検査していたら陸運局がパンクしてしまいます。そこで、保安基準を満たしているかどうかの検査をメーカー自身に任せるというものです。
中古車の新規登録(中古新規)
1.保安基準適合証による中古新規
ディーラーや民間の指定工場が車両を検査し、合格すると発行されるのがこの保安基準適合証です。
しかし車検証を発行することは上記ディーラーや工場にはできず、やっぱり陸運局になります。その際に、車両を持ち込むことなく保安基準適合証を提出することで車検証を発行してもらうことができます。
普通はこのあたりの手続きもディーラーや整備工場側でやってくれるので、一般のドライバーが意識することはあまりないと思います。
2.予備検査による中古新規
一時抹消登録や永久抹消登録によってナンバープレートを返却した状態の車両に対して行う車検のことを予備検査と言います。
予備検査に合格すると、車検証の代わりに自動車予備検査証が交付されます。
この自動車予備検査証を提出することで、改めて車検を行うことなく車両を登録することができます。
3.車両持ち込みによる中古新規
車両を陸運局に持ち込み検査を受け、合格すると車検証が発行されます。
ナンバープレートがない状態での持ち込みになるのでそのままで公道を自走することはできず、仮ナンバーを取得するか陸送業者へ依頼する必要があります。
投稿者プロフィール
- 宇都宮市の行政書士
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