自動車登録業務とは

行政書士業務の中に「自動車登録」というものがあります。

この登録業務とは一体何なのか?について解説します。

自動車にまつわる法律あれこれ

とその前に、自動車や道路にまつわる法律についてお話しします。

一番聞き馴染みがある法律といえば「道路交通法」でしょう。特に運転する人にとって、条文は気にしたことがないにしてもそこで定められたルールは意識しているはずです。

これ以外にも、自動車や道路関係の法律はたくさんあります。その中でいくつか代表的なものをピックアップしてみます。

道路法

この法律は、その名の通り道路に関する法律です。その法律の概要を知るには第1条を見ればよいので、以下に引用してみます。

(この法律の目的)
第一条 この法律は、道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もつて交通の発達に寄与し、公共の福祉を増進することを目的とする。

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ということで、道路の定義や管理、費用や収入などについて定められています。

道路交通法

この法律は、多くの日本人にとっていちばん聞き馴染みのある法律です。

(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

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何となくお分かりだと思いますが、この法律は交通安全に関するものです。街の警察官が運転中の我々に対して目を光らせているのも、この法律に基づきます。

道路運送車両法

実はこれもよく聞く法律です。例えば125ccの原付は、道路交通法では普通自動二輪となりますが、この法律では第二種原動機付自転車となるという話は有名だと思います。(二輪に興味ない人は知らないかも)

(この法律の目的)
第一条 この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証等を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。

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この法律は車両についてのものです。自動車の定義から登録、保安基準、点検整備についてなどが定められています。

自動車登録業務はこの法律に基づいて行われます。

道路運送法

上記と名前が似ていますが、内容は別物です。

(目的)
第一条 この法律は、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)と相まつて、道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とする。

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この法律は運送事業についてものものです。

ここに挙げた以外にもまだまだたくさんの法律があります。私も詳しくは把握しきれていません。

自動車登録とは何か

この登録については上記に挙げた道路運送車両法によるものですが、第4条と第5条を見てみます。

(登録の一般的効力)
第四条 自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第二十九条から第三十二条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

第五条 登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。
2前項の規定は、自動車抵当法(昭和二十六年法律第百八十七号)第二条但書に規定する大型特殊自動車については、適用しない。

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第4条は一般的な効力について定めています。

仮の話ですが、自分で勝手に作った自動車で勝手に道路を走らせることはできません。というのも、もし公害を撒き散らすような自動車だったり、もしくは道路を著しく傷つけるような車だった場合に、そのような自動車が走るとみんなが迷惑するわけですね。

ということで、保安基準を満たした自動車が自動車登録ファイルに登録されて道路を走ることができるというようになっています。(ちなみに自動車登録ファイルは国土交通省が管理しているファイルで、運輸支局や自動車検査登録事務所でナンバープレートと車台番号で請求すれば誰でも見ることができるようですが、私はまだ見たことがありません。)

自動車登録業務とは、この自動車登録ファイルに登録することを言います。

また第5条では、自動車を登録することで所有権を第三者に示すことができる効果について定められています。

不動産であれば登記することで所有権を第三者に主張することができますが、動産である自動車には登記という制度はありません。その代わりに上記の自動車登録ファイルが、その所有権が誰にあるかを示すことになります。

ちなみに、不動産登記簿と自動車登録ファイルとは別物ですが、自動車にも抵当権を設定することができることが自動車抵当法という法律に定められています。

(抵当権の目的)
第三条 自動車は、抵当権の目的とすることができる。

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ですが自動車をローンで購入する場合は抵当権を設定する方法ではなく、所有権留保という手段を使うことが多いようです。実際、車検証にも所有者と使用者の2つの欄があり、所有者はローン会社で使用者は自動車を購入したお客様となっていることがあります。

まとめ

自動車登録業務とは、道路運送車両法に基づき、国土交通省の管理する自動車登録ファイルに登録することを言います。そして、これを行政書士が本人に代わって行うことができます。

また一言に登録と言っても、新規登録、変更登録、移転登録、抹消登録など様々で、これについてはまた別で説明しようと思います。

今回の話でぼんやりとでもイメージを掴めて頂けましたら幸いです。

投稿者プロフィール

Imari Tsuyoshi
Imari Tsuyoshi
宇都宮市の行政書士

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