行政書士試験の模試が始まったようですね

最近、Xで行政書士試験の模試結果を公表しているのをよく見かけるようになりました。思えば自分も1年前は試験に向けて勉強していました。

そこで今回は、合格に向けて模試はどのような効果を発揮するのかについて書いてみます。受験する方の参考になれば幸いです。

1つ目の効果 試験の形式に慣れる

まずは何と言ってもこれでしょう。

それまではテキストを読んだり、問題集で1問ずつ解いては解説を見たりという勉強をしてきたと思います。

一方、試験は3時間で60問を解かなければなりません。その60問の中には、基礎法学・憲法・行政法・民法・商法・会社法・一般知識の各分野の問題があり、出題形式も五肢択一・多肢選択・記述と様々です。これらの問題を限られた時間内に解かなければならないというのは時間との戦いになります。

自分はどういう順番で解いていくのが一番高得点を出せるかとか、どの分野にどれぐらいの時間を掛けることができるのかとかの確認をすることができるのが模試になります。

というのがよく言われるものです。もちろんこれも重要な効果ですが、個人的にはこれよりも次に述べる効果がより重要でした。

2つ目の効果 絶望を味わう

自分の場合、一番の効果はこれでした。

当然ですが絶望そのものが目的ではなく、現時点で全く合格点に届かないという事実を突きつけられた結果、今までの勉強方法では甘かったということを認識することが本当の目的です。

自分の場合、初めて模試を受けた時点で肢別過去問集を解いては解説を見てというのを5周ぐらい繰り返していました。そのときはまだ知識が固まった感覚はなく、実際に結果もその通りでした。しかしその後2回目の模試ではさらに肢別過去問集を数周回していて今度は大丈夫だろうと思っていたものの、結果は前回とほとんど変わりませんでした。

よく「問題集の解説を覚えるだけの勉強ではダメだ」と言われます。自分もそんな勉強ではなく、しっかりと理解までしてきたつもりでした。しかし模試の点数にはそれが反映されていない。その原因は、何かしら自分のやり方が良くないからだろうと考えました。

そしてここからさらに肢別過去問集の周回を重ねるわけですが、その次の1周は全ての問題について解説を読むだけでなく関連する条文を六法で確認を行うようにしました。そしておまけに、これ以降の周回では「仮にこの解説に書かれている内容、もしくは条文の内容を知らなかったとして、どう考えれば正解にたどり着けるだろうか?」ということを常に考えながら問題集に当たりました。実際、その問題の関連する条文や判例そのものを知っていなければ答えられないような問題も少なくありませんが、一方でその周辺の条文の考え方などを使って答えを推測できるものも少なからずあったと思います。

この勉強法について、今までは割と楽に周回できていたのと比べて格段に負荷が上がりました。1日10時間程度を1週間かけてようやくギリギリ1回転できるぐらいでした。しかし、これをある程度繰り返すことで模試でも合格点を取ることができるようになっていきました。

そしてこの勉強法に変えたことで、それまでの勉強はただ解説を覚えるだけのものだったと気づきました。良くない勉強法だと散々言われていたのに、模試の結果に絶望するまで気づかずにそれを続けてしまっていました。

模試はいつ受けるのがいいか

これについては、みんなが口を揃えて言うのは「できるだけ早く」です。全範囲終わっていようがいまいが、とりあえず受けろという感じです。

ただ全範囲終わっていない状態で模試を受けると、2つ目の効果が得られません。「まあ全範囲まだ終わってないんだから合格点に届いていなくても仕方ないよね」と考えられてしまうからです。

とりあえず受験して1つ目の効果だけでも得るのもいいですが、これだけでは足りません。

それよりも重要な2つ目の効果を得るためにもできるだけ早く全範囲を終わらせてから受験すべきだと思います。全範囲を終えられる見込みが試験直前になりそうな場合は、そこまで模試を受けないのも怖いのでとりあえず受けておくべきだと思います。現状に対してどうすれば合格する可能性を最大化できるかという戦略になるので、万人に当てはまる正解はありません。

これまでの勉強法が正しくて模試の点数も180点以上で安定しているという場合には2つ目の効果は不要なので、その場合には模試を受けて本試験の出題形式に慣れるというところに主軸を置くのでいいと思います。

絶望してからが本番

今回模試を受けてみて、全然合格点に届いていなくてガックリ来ている方もいると思います。しかし今は7月で、まだ4ヶ月ぐらいあります。

僕の好きな頭文字Dという漫画での台詞で「早過ぎる仕掛けは、相手に精神的なダメージから、立ち直る余裕を与える」というものがあります。試験までまだ期間があるので、立ち直るには十分です。

自分が最初に模試を受けたのは8月中旬頃でした。このときはまだ全範囲を満足に終えられていなかったために、記述抜きで140点程度でしたが「まあこんなもんか」ぐらいにしか思いませんでした。

そして2度目の模試を受けたのは9月上旬でした。このときは前回からさらに肢別過去問集を2~3周回して基礎も固まったと思っており、しかも1度は模試を受けているので試験形式にも多少の慣れはできているという状態なので、今回はある程度合格点に近いぐらいは取れるだろうという期待がありました。しかし結果は記述抜きで150点ぐらい、しかも記述は1文字も書けず0点で、またしても合格点には遠く及びませんでした。

その時点ですでに1000時間程度やってきていた勉強が無駄になるかもしれないという恐怖と、本試験まであまり時間がないという焦りで、ここから約1ヶ月間が試験勉強をしてきた期間の中で一番辛い時期でした。

そこで勉強法を見直し、もう一度基礎を見直すことで模試でも安定的に180オーバーを取れるようになり、ほんの少しだけ気持ちが楽になったのを覚えています。

行政書士試験の合格に必要な学習時間は600~1000時間と言われていますが、実際に600時間で合格できるのは法学部卒業とか上位の法律系資格をすでに持っている人などの法律の素養がある人だと言われています。今行政書士試験に向けて勉強している人の多くは、現時点で全くの素人とは違ってある程度素養がある人と言うことができるでしょう。その素養がある皆さんが、今から本試験までの約4ヶ月で600時間の学習時間を捻出するのも特に無理な話ではないと思います。

つまり、今からならばまだ合格圏内に入ることは十分に可能です。ぜひ残りの時間悔いのないように努力して本試験に臨んでください。

投稿者プロフィール

Imari Tsuyoshi
Imari Tsuyoshi
宇都宮市の行政書士

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